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企業の社会に対する責任


(社)日本補償コンサルタント協会 近畿支部
 副支部長 竹村 久一

 近年、社会や経済が大きく変革する中で、建設関連の我が補償コンサルタント業界は大変厳しい時代を迎え、会員企業におかれましては色々と経営改革に取り組まれている事と思います。そのような厳しい状況下で、今年度より副支部長の大役を仰せ付かり、その責任の重大さを痛感すると共に、少しでも協会のお役に立てればと願っております。会員皆様のご協力とご支援をお願い申し上げます。
 企業経営において利益を上げることは、厳しいサバイバル競争の中でも必要性は何ら変わりありませんが、ほかの社会の側面を犠牲にしたり、不法や不当な競争をしてまでも、利益追求や企業存亡を賭けることは、社会から非難や疑問視されています。それが今日求められているCSR(Corporate Socil Responsibility)「企業の社会に対する責任」であり、CSRは究極的には企業の倫理、あるいはビジネスの倫理であると思います。
 この事は雪印や最近の三菱自動車など、非常にいい例ではないでしょうか。…?社会や消費者の信頼を一度失うと、その信頼を取り戻すことは大変なことであります。
 バブル経済が崩壊後、経済は下降の一途を辿り、中でも建設関連業は国や地方の財政悪化に伴い公共事業が激減して、大幅に市場が縮小し苛酷な大競争時代に突入して、企業倒産、企業合併、企業縮小等により、人員削減や賃金カットなど、経営条件は今までにない厳しい環境であります。
 私共の補償コンサルタント業界は、建設関連業の中でも最も弱い中小企業ばかりで、その経営環境は言うに言われぬ厳しい状況であります。
 今日までは社会の求める社会資本の整備に応えるため、補償に関する公共的な役割の一翼を担ってきたと自負して居ましたが、急激な建設市場の変化で企業の活路は大変厳しく、協会の組織運営も大きな変改期に突入しようとしています。協会本部においては業務預囲の拡大や、顧客の拡大に向けてあらゆる努力がされていますが、厳しさを和らげることは大変困難であります。
 補償コンサルタントの業界は、究極的に市場に見合った業界の再編に向けて、企業淘汰や企業縮小など一段と苦しい時代を越えなくてはならないのでしょうか……?。それならCSRを経営理念とする社会に対して責任が果たせる企業が勝ち残れる。業界や協会内の公正な競争ルールや協会運営を早急に確立する必要があるのではないでしょうか。
 近江商人の経営理念に「三方よし」 として知られる考え方があり、商売を営むうえで「売り手よし」「買手よし」「世間よし」という「三方よし」を常に考慮すべきだという基本的な考え方であり、現代の厳しい経済競争社会にあっても、近江商人の経営理念は大いに示唆を与えてくれるものであり、企業と社会が持続的に発展していく為に、CSRが経営ツールとして必要になってくる時代ではないでしょうか。
 協会の会員企業の一層の経営ご努力を 期待しますと共に、社会に対する企業責任が果たせる協会活動を心掛け、社会や顧客(発注者)から信頼される協会を目指しましょう。