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「Vector」

新日本総合用地株式会社 辻元 真也
 この夏は記録的な猛暑になっていて、屋外はまさに灼熱といった感じだ。
 しかし、それをよそに空調の効いたオフィスでパソコンに向かい仕事をする。
 この普段使用しているコンピュータだが、計算機の歴史は以外に古く1600年代に遡る。
 
 世界最初の機械式計算機は1642年に「パスカルの法則」で有名なフランスのブレズ・パスカルが、後に『パスカリーヌ』と呼ばれる歯車式計算機を作成した。
 税務官吏をしている彼の父は、大量の計算に追われていた。そこで、正確な計算が簡単に出来る機械を作成しようと、パスカルが16歳の時(1639年)に考案し、3年の歳月をかけて開発した。0~9の数字が書かれた歯車が8個並び、それを回転させることで加減算を行う仕組みだ。この計算機は現在、パリの博物館に保存されており、現存する最古の計算機である。
パスカルのパスカリーヌ
パスカルのパスカリーヌ
 
 これ以降、 1822年にイギリスのバベッジが逐次制御型計算機・解析機関(Analytical Engine)を考案。
現在のコンピュータとほぼ同じ基本構造の、記憶部、演算部、制御部持っていた。
バベッジの解析機関
  1937~1942年にかけてジョン・V・アタナソフとクリフォ-ド・ベリ-によって、世界最初の 電子計算機となるABCを開発。
  1945年J.P.エッカ-トとJ.W.モックリ-らによってENIAC(Electronics Numerical Integrator Computer)を開発。
     
バベッジの解析機関
 この頃は真空管を用いたコンピュータの第1世代に分類される。使用している素子に応じて下記のように分ける事が出来る。
 第1世代(   ~1960年) 真空管
 第2世代(1958年~1963年) トランジスタ
 第3世代(1964年~1979年) 小型高機能回路(IC)・大規模集積回路(LSI)
 第4世代(1980年~   ) 超高密度集積回路(超LSI)
 また、現在のコンピュータシステムの殆どは、1946年にジョンフォンノイマン(~1957年)により提案された「ノイマン型」と呼ばれる方式を採用している。プログラムをハードと分離し、主記憶装置(メモリ)に格納して、逐次実行する。ハードとソフトを分離することで、ハードはそのままにさまざまなプログラムを組合せて使うことが出来、プログラムの修正や変更が容易となった。
 当時のコンピュータは、真空管の配列や配線は計算内容に合わせたものになっており、他の計算をする為には毎回配線をやり直す必要があった。この作業に時間が掛り、あまり汎用的ではなかった。
 世界最初のノイマン型コンピュータとなるのが、1949年にイギリスで開発された「EDSAC」である。
 
 以上が大まかなコンピュータの歴史であるが、パスカルの歯車式計算機から現在のスーパーコンピュータまで、さまざまなテクノロジーが生み出されてきた。
 普段の仕事や生活のなかで、ちょっとした閃きやアイデアが時にはすばらしいテクノロジーを生み出すかも知れない。普段から色々なことに挑戦してみる気持ちが大切だと思った。